SSブログ

「知っておきたい地球科学」 [科学]

地球科学.jpg

 岩波新書、2022年11月刊。
 著者は、鎌田浩毅さん。

1 月
 地球が誕生した1億年後の、今から45億年前、地球に火星ほどの巨大な天体が衝突した。
 衝撃により地球の一部が宇宙へ飛び出した。
 飛び散った破片が地球の重力により周回し、合体して月ができた。

 月は同じ面だけ地球に向けながら回っている。
 これは地球に向いている表側と、裏側とでは構成する物質に違いがあるため。
 表側には「玄武岩」というマグマが固まった重い物質が多く、裏側には「斜長岩:という軽い物質が多い。
 重い部分が地球に引き寄せられる結果、月はいつも表側を地球に向ける。

 月の存在は地球に大きな影響を与えてきた。
 月が誕生した当時の地球は、現在よりも早く自転しており、一日が4~6時間だった。
 自転速度が速いため、絶えず強風が吹き荒れた。
 地球の自転速度を遅くしたのは、地球と月の間で働く引力により地球上の海で潮の満ち引きが生じ、それが地球の自転にブレーキをかけたため。
 
 また、巨大な天体が地球に衝突した際、地球が自転する地軸が23.4度傾いた。
 この結果、地球には四季の変化が生じた。

 月は毎年3センチずつ地球から遠ざかっている。
 数十億年後には月が地球の衛星ではなくなる。
 月が無くなると、地球の自転速度は速くなる。
 時速数百キロの強風が吹き荒れるようになり、人類の存続は困難になる。

2 太陽
 地球は太陽と絶妙な距離にあり、水が存在し、生命が繁栄している。
 しかし、太陽は1億年当たり1%の割合で徐々に明るくなっている。
 そのため、地球が受け取るエネルギー量が増えてきており、今から10億年後には地表の温度は100度を超える。
 それより前に人類は存続できなくなる。

3 地磁気
 地球の中心にある核は、高温高圧の鉄やニッケルの合金で構成されており、それが地球の地磁気を生み出している。
 地磁気は、太陽から放出される有害な宇宙線から地球の生物を守るバリアとして需要な役割を果たしている。
 宇宙線の粒子は、直接浴びれば細胞、特に遺伝子を傷つけ、生命の維持に重大な悪影響を及ぼす。

 ただし、地磁気は数十万年単位で強まったり弱まったり、あるいは逆転している。
 過去200年では9%弱くなった。
 
4 二酸化炭素と温暖化
 大気中の二酸化炭素濃度は、地球内部での炭素の循環や、大気と海洋の間での炭素のやり取りなど、複雑な相互作用によって決まっている。
 すなわち、地下深部のマントルに含まれている二酸化炭素は火山活動などにより、海中や大気中に放出される。
 一方、大気中の二酸化炭素は水に溶けて炭酸となり、さらに炭酸カルシウムとなって沈殿する。
 また、生命の営みにより発生した有機物も海底の堆積物となる。
 炭素は大気・海洋・岩石の間を循環している。

 地球が誕生して以降、大気中の二酸化炭素濃度はすう勢的には低下傾向にあるが、ここ100万年では平衡状態にある。
 
 現在の地球は南極やグリーンランドなどに厚い氷床が存在するため地質学的には「氷河時代」に区分され、その中でも比較的温暖な「間氷期」にある。
 いま問題となっている地球温暖化も、ふたたび氷期に向かう途上での一時的な温暖化とも考え得る。

 地球の平均気温に影響しているのは、大気中の二酸化炭素濃度の他、太陽との距離や太陽黒点の変化、あるいは火山の噴火などがある。
 地球の公転軌道が真円からずれて、太陽からの距離が変わると、氷期や間氷期の発生原因となる。
 また、ここ400年ほどで見ると太陽黒点が増加し、地球の気温もそれにつれて上昇している。
 1645~1715年の70年間では太陽活動の低下により、地球の平均気温が下がり、世界各地で飢饉が発生した。
 大噴火も世界的な気温低下の原因となる。

 地球温暖化への二酸化寄与度については、研究者によって意見が大きく分かれている。
 太陽活動が不活発な周期に入ったため、これから寒冷化に向かうと予測する地球科学者もいる。
 
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。